第36章 決別
こうして見ていると、酷く重い空気をまとっているのはキリの方で、対してイチカは戸惑いが大きい様子であった。
イチカ「え……と、今キリはどうしてるの? 家は? 木ノ葉の里を案内してくれない?」
数日は滞在する事になるため、家に泊めて欲しいのだと言うイチカに、キリは下げていた顔を上げた。
キリ「滞在……? どういうこと?」
イチカ「数日はここに居ようと申請だして来たから、すぐ樹の里には戻れないのよ。だから、キリの家に泊めてもらおうと思って」
その数日分の衣服や荷物は持ってきたから大丈夫だと言うイチカに、キリは少々面を食らう。
シカ(こいつ……あれだな)
一言で表すと、面倒くさい。
事前に連絡も一切無し。
少し顔を合わせるだけならまだしも、泊まり込みの滞在と来た。
シカ(……キリが長期任務中だったら、どうするつもりだったんだよ)
この女は間違いなく自分の都合だけで生きてるタイプの、シカマルの典型的な苦手な女の部類に属している。
そんな我が道をいくイチカに、キリは少し考えるような素振りを見せてから、小さく口を開いた。
キリ「……部屋、片付けてくるから少し待っていて」
イチカ「別にそんなの気にしないわよ」
「すぐに終わるから」と言われて、イチカもそれに頷いた。
そして、踵を返したキリにその場に、残されたイチカとシカマル。
シカ(ちょっ待て……! こいつと二人かよ!?)