第36章 決別
ヨシノ「結構たくさん頼んだからね、戻ってくるのはもう少しかかると思うよ」
シカ「あー、なら俺も行ってくるわ」
その手伝いが終われば、気分転換にどこかに行ってもいい。
とにかく今は、一度キリと話がしたい。
そう思って、玄関で靴を履いていれば、後ろからヨシノの声が聞こえてくる。
ヨシノ「シカマル……頼んだからね」
シカ「……おう」
…………………………
シカ(どこだ?)
家を出てからというもの、ヨシノに聞いた使いの内容を辿っていくが、その途中でキリに出会う事はなかった。
そして、今ついに最後までその内容を辿り終えたのだが、やはりキリの姿は見えない。
シカ(つーか、あいつ早過ぎんだろ……)
もう今更、キリがどんな早さで仕事をこなそうがそれほど驚きはしない。
「おい、まじかよ……あーいやまあキリだしな」で大体は片付けられるようになったのだが、それでも少し早過ぎやしないか。
おいおい鬼畜じゃないか。という量のヨシノの使いを完璧にこなし、その最後の使いですら、数十分前に終えているというのだから、こっちが手伝うどころの話ではない。
その後、出会った同期や上忍たちにキリを見かけなかったかと聞きながら、探しまわること早三十分。
目的の人物は見つかった。
小さなバックを背負って、空を見上げていたキリに歩み寄っていくと、シカマルに気付いたキリは、ゆっくりとこちらに視線を向けた。
シカ「よぉ、こんなとこで何してんだよ?」
キリ「……別に。あなたはどうして?」