第36章 決別
シカ「あーくそっ」
ガシガシと頭をかいたシカマルは、いつまでも一人でこんな事をしていても何もならないと、立ち上がり、意を決して隣の部屋をノックする。
コンコンッ
シカ「……」
返答がなく、再度ノックをしてもそれは同じ結果に終わった。
シカ「……キリ? 開けるぞ」
ドアを開けるが、部屋にキリは不在だった。シカマルは意気込んでいた分肩透かしをくらう。
シカ「…………」
仕方なくドアを閉めて、シカマルは一人下へと降りていく。
いつもキリの部屋には、何もなかった。
この家に来てもうずい分と時間が経ったが、キリは部屋に物を置かない。
せいぜい忍具や替えの服が数着ある程度で。……だからこの時は気付けなかったのだ。
そのキリのわずかな荷物すら無く、綺麗に畳まれた布団の上に袋が一つ。金だけがまとめて置いてあった事に。
下階に降りれば、ヨシノの姿があり、キリの行方を訪ねた。
シカ「母ちゃん、キリどこ行ったか知らねぇか?」
ヨシノ「ああ、キリならお使いを頼んだよ」
「今は何かをしていた方がキリも気が紛れるだろう」と、少し眉を下げたヨシノに、シカマルも声を落として同意する。