第36章 決別
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シカマルの部屋では、かれこれ数時間に渡って何かがぶつぶつと唱えられている。
シカ「 キリ、いいか。あれはお前のせいじゃねえ。確かに、婆さんはキリを守って亡くなったかも知れねぇけど、どう考えたってお前を狙ってきた奴らが悪い。それに、婆さんはお前を守りたいと思って、自分からそうしたんだろ? じゃあ、お前がその事で気に病んでたら婆さんも浮かばれねぇんじゃねーか。婆さんもきっとお前が無事で安心してるだろうよ。それに、お前が無事で良かったと思ってんのは婆さんだけじゃねえ。俺も……親父も母ちゃんもそう思ってる。俺たちだけじゃねえ。チョウジといのもお前を心配してっしよ、ヒナタだってそうじゃねぇのか。だから……あんまり変な事考えたりすんなよ」
昨晩からずっと考えていた文章をシカマルは復習する。
俺も無事で良かったと思ってると、事前に準備して言うのがどうしても気恥ずかしくて、親父や母ちゃんを付け足してしまうが、まあいいだろう。
みんなが心配しているのは本当の事だ。
前半は間違わずに言うことが出来たため、後半の文章にも復習をかさねる。
シカ「今はまだ気持ちが落ち着くのに時間がかかるかも知れねぇけど………知れ…ねぇけど……」
シカマルはあの時のキリを思い出して、眉を寄せた。
シカ「……そんなに無理すんな。つらいなら、つらいって言ってくれ。俺にまで平気なフリするんじゃねぇよ……」
頼むから、これ以上一人で抱え込まないでくれ。ぽつりと、本音が漏れる。