第36章 決別
第36話 決別
フミの葬儀から二日が経った。
シカ「っ、はぁ、はあっ」
家にいても鬱々と考え事をするばかりで。それを回避するために、シカマルは修練場へとやってきた。
体を動かしていた方がマシだろうと、がむしゃらに体術やクナイを投げ続けて小一時間。
ザッ
投げたクナイはそれほど遠くない的を遥かに超えて、茂みの中へダイブする。
シカ「……っ、何も意味ねぇじゃねーか」
先ほどから一度も中心に当たらないクナイも、体術なんて呼べやしない無茶苦茶な動きも。
修業なんて立派なものではない。
シカ「……何も意味ねぇ」
シカマルは結局、キリに何も言ってやる事が出来なかった。
あの後のキリは、ごくごく普通で、普段と何ら変わりはない。
そのことが、見ていて胸を痛ませた。
フミの死を目の前で見て、キリはあんなにも苦しんでいたのに。それが翌日になって、けろりと平気になるわけがない。
ましてや、あの責任感の塊のようなキリがそんな事を思うはずがないのだ。
シカ「俺が……もう少し早けりゃ……」
助けられただろうか。
シカ「……初めてのキリの頼みも聞いてやれねぇ」
ぐっとこぶしを固めたシカマルは、的当てに使用していた丸太を力一杯に殴りつける。