第35章 35話 重たい犠牲
そこに、やっと追いついた暗部二人と、途中で合流しただろう息を切らしたシカクが現れて。
三人はシカマルと同じように、目の前の光景に足を止めていた。
………………………
翌日、フミの葬儀が行われ、そこには多くの人達が訪れた。
そんな中で、キリは葬儀に出席せず一人、丘の上から木ノ葉の里を見渡していた。
いや、出席しないというよりも、出来なかったの方が近いのかもしれない。
シカクは、キリも葬儀に参加するように促したが、キリはそれに首を振った。
自分が行けば、迷惑になると。
シカクはそんな事はないと言ってくれたが、キリはもう一度首を振る。
キリを助けた事で、フミが亡くなった事は周知されている。
キリがその場で何を言われても構わないが、フミの親しい仲の人や、フミを慕う者がキリを見れば酷く気分を害すだろう。
それは、避けたかった。亡くなった後まで迷惑をかけたくない。
そう言えば、何か言おうとしていたシカクも、眉を下げて了承してくれた。
そうして数時間が経って、葬儀場の近くから煙が上がる。
フミの火葬が始まったのだろうか。
キリは、ぎゅっと自分の膝を抱いた。
キリ(こんな事なら……もっと早くに……)
確かに、木ノ葉には拾ってくれた恩を返せたとは思っていないし、自分にはまだやる事が残っているから、今は死ねないと……思ってはいた。
キリ(でも……誰かを犠牲にしてまで、生きようなんて思ってなかった)