第35章 35話 重たい犠牲
フミ「っと、危ないじゃないさ」
フミの脇腹をかすめた小刀は、方向を変えて、今度はフミの心臓を狙う。
フミ「!」
反射的に暗部の首にクナイを向けたフミは舌打ちをして、クナイを持ち替え、暗部の首には手刀を入れる。
フミ「ちっ、殺さずに戦闘不能にするってのは面倒だねぇ……」
フミ(この老体に、この四人は少し重いか)
それでも、一瞬の隙をついて殺してしまうのならば。今のようにチャンスもあっただろう。
フミ「あのお嬢ちゃんがしなかったってのに、私がするわけにもいかないからね」
木ノ葉の里にとって必要な忍なのだと、決して手を出さなかったキリ。
それをフミが殺してしまえば、キリの優しさは無駄になる。
フミ「っ!!」
しまった、と思った頃にはもう遅かった。
腹部に根元まで刺さった小刀に、フミは視線を落とす。
フミ「ったく、老人には優しくしろって教わらなかったかい?」
『………あなたに手加減などすれば、こちらがやられます』
フミ「ははっ、あんたも大したもんだよ。ま、そう言ってもらえると、それはそれで嬉しいこったね」
『………申し訳ありません。フミさん、あなたに罪はないのですが』