第35章 35話 重たい犠牲
二人がその風圧に耐えていてしばらく。
突然、イタチが鳴き声を上げた。
ボンッとそのまま姿を消したイタチ。残されたキリとシカマルの体が宙に投げ出される。
キリ「!」
シカ「うぉっ!?」
ザザアァッと二人は駆けていた勢いのまま地面を転がっていく。
シカ「…ってぇ、キリ! 大丈夫か?」
キリ(まさか……っ)
キリの頭に、嫌な光景が浮かんだ。
口寄せをしていたイタチが消えた。それは、つまりーー
キリ「フミさんっ……!!」
キリは即座に立ち上がり、戦場へ一目散に走る。
シカ「!! おいキリ! 待て!」
………………………
フミは額に流れた汗をぬぐって、はぁはぁと浅く刻まれる呼吸に、苦笑いを浮かべる。
キリを相棒のイタチに任せ、残り七人となっていた敵のうち、更に三人を土遁の術で捕獲することに成功した。
残すところ四人となったまでは良かったのだがーー
フミ(どうやら後の四人はそう簡単にはいかないみたいだね)
一口に暗部といっても、その中で実力差は大きい。
キリの事をいたぶっていたような連中の技術は、フミからすればまだまだ子どもの半人前。
しかし、残る四人は次々と捕らわれていく暗部達に戸惑いひとつ見せることなく、至って冷静沈着。
充分な経験値と実力をもっていた。