第35章 35話 重たい犠牲
フミは先の戦いで、十二人いた敵の内、五人を既に捕らえていた。
残すところ七人。
あの時に感じたフミの高い戦闘能力。
そして、もう十年以上口寄せをしていない様だったが、現役時代は共に戦っていたのだろうこのイタチも、相当な戦闘力を持っているだろう。
フミとイタチに加えて、暗部が二人。
キリも支援に回りながら、シカマルの擁護に入るつもりだ。
敵を倒すのは厳しいかもしれないが、援軍が来るまで耐えるだけならば、充分に可能だろう。
それに、仮に駄目だったとしても。
もともとの狙いはキリ一人なのだから、それで事無きを得るだろう。
この身一つで済む話なら、それでいい。
キリ「援軍が来るまで、時間を稼ぐぐらい出来る。だから……早く! お願い……っ!!」
二、三歩、迷うように足踏みをしたイタチは、シカマルに尻尾を伸ばした。
シカ「!?」
シカマルはそのまま体を絡め取られ、イタチはくるりと踵を返した。
ついてこい、と言わんばかりに暗部に視線を送ってから、イタチは来た道を再び戻る。
キリ.シカ「っ!!」
木ノ葉に戻る時よりも迷いなく、ずっと速いイタチのスピードに、ぐっと息が詰まる。