第35章 35話 重たい犠牲
『待ちなさい』
シカ「!」
『罠かもしれない』
だから止めておけと、暗部から告げられる。なるほど確かに、この暗部達はシカマルの敵ではないのかもしれない。
だが、キリの本質を取り違えている連中だ。
シカ「罠なんてことは有り得ねぇ。キリは何があってもそんな事をする奴じゃねぇ」
バッと肩に置かれた手を振り払って、シカマルはキリの方へと歩み寄る。
シカ「俺も一緒に行く」
キリ「でも」
シカ「お前一人で行かせるわけねぇだろ。それにすぐに親父も駆けつける」
待ちなさい、そう言ってシカマルを止めようとした暗部はピタリと体を停止させた。
その足から伸びる影は、シカマルのそれと結合している。
『!!』
シカ「油断し過ぎだぜ。そんなに心配だっつーんならあんたらもついてこい」
「あんたらが来なかったとしても、俺たちは行くけどな」と言い捨てたシカマルに、暗部はため息をついた。
『……はぁ、仕方ない。罠だとわかれば、その時は手加減しないわよ』
シカ「よしキリ、行くぞ。親父の後には援軍もくるはずだ」
キリ「!!」
援軍、そして暗部の同意を得られ、キリは再びイタチに視線を向ける。
キリ「これなら戦える。お願い、戻って……!!」