第35章 35話 重たい犠牲
そのキリが戦場に戻ってしまっては元も子もない。
だが、キリは間違ってもその誰かを置いて自分一人逃げるような性格をしていない。だから、自由を奪ってでもキリを戦場から遠ざける必要があったのだ。
そして、先ほどから敵意の見られない暗部は無関係の偶然か。
シカ(たまたま近くにいた暗部に、運悪く見つかっちまって捕獲されかけてるってとこか)
事の成り行きが理解出来て、シカマルの判断に更に迷いが出る。
キリを解放すれば、間違いなく戦場に逆戻り。キリの身が危険に晒される。
だからと言って、こんな風に必死で助けを求めているキリをこのままにしておくのか。
シカ(……どうすりゃいいんだよ!?)
もう一度、キリを見れば、強い眼差しが真っ直ぐに自分を射抜く。
悩んでも、答えは初めから一つしかなかった。
シカ「キリ、場所はどこだ。俺も行く」
キリ「!!」
こんな状態のキリを、放っておくなんてことが出来るはずなくて。
すると、シカマルは唐突に肩を掴まれた。