第35章 35話 重たい犠牲
イタチの様子も気にかけながら、暗部とキリの間に入れば、いまだ捕らわれたままのキリと視線が混じる。
シカマルの登場に、驚いた様子だったキリは、すぐに泣き出しそうな表情に歪んだ。
キリ「っ、あ……助けて、お願い……!」
シカ「待ってろ、すぐ……!」
取り返してやる、とイタチにクナイを構えれば、キリは慌てて口を開いた。
キリ「違う! この子は敵じゃない」
シカ「!?」
そして、おそらくあの暗部二人も敵ではない、と告げられて、シカマルの頭には疑問符が浮かぶ。
キリ「この先で、私のことを身を呈して庇ってくれた人がいる。今も一人で戦ってる」
だから、助けに行きたいのだとキリは懇願する。
そのためには、イタチの拘束を解かなくてはいけない。しかしキリは《イタチは敵ではない》という。
シカ(どういうことだ)
その一つ一つを整理していけば、頭の中でカチカチとピースがハマっていく。
キリの反応から見て《敵ではない》味方であるはずのイタチはキリを拘束している。
シカ(味方なのにキリを拘束する必要があった……? ……そういうことか!)
《誰か》がキリを助けるために、逃したのだ。キリの切羽詰まった様子を見ると、危険な状況なのだろう。