第8章 思わぬ助け舟
キリは自身の軽率さに、嫌気がさしていた。
現在キリは壁際に誘導され、くノ一3人に囲まれている。
キリ(……水なんて我慢すれば良かった)
アカデミーに水筒を持参してくるのを忘れてしまい、水を求めて外へと出れば、途中でクラスの女の子3人に話しかけられた。
ここしばらく、イルカ以外に声をかけてくる者はいなくなり、安心していた矢先だ。そして、クラスメイトの珍しい声かけが、良いものであるはずがなく。
日頃からキリに不満が溜まっていた彼女たち。この度、その不満が大爆発したのである。
「ねぇ、ちょっと聞いてるの?」
肩を鳴らして不機嫌な声をあげる彼女はどうやらご立腹らしい。
キリ「何」
「っ、だから、あんたのそういう態度が気に入らないのよ!」
「あんただけ特別扱いで、よそから来たくせに試合にサスケ君を指名したり、何様のつもり?」
「ちょっと強いからって、調子に乗らないで」
キリ「…別に調子に乗ってたわけじゃない。私はただあなた達と関わりたくないだけ」
「なっ」
キリ「でも、あなた達の邪魔をしたいわけでもない。私はあなた達に何もしないから、あなた達も私に関わらないで」
「っ!その生意気な態度が調子に乗ってるって言ってるのよ!」
今にも食ってかかってきそうな彼女を見て、キリは内心ため息をつく。
なんて面倒な事だろう。確かに、普段から友好的な態度はとっていないが、私はこの子たちとは直接話した事はないはずだ。
本当にただただ、誰とも関わり合いたくないだけなのに。それは思いの外、難しい事なのだろうか。
キリ「…殴りたいのなら、そうしてもいいけど。今回だけ。その後は私は何を言われても対応しない」
毎回毎回、文句をつけられてそうされるのは勘弁してもらいたいが。今回だけ、一度痛めつけて気が済むのなら、その方が後々面倒がない。