• テキストサイズ

ささめごと -ながい夢- 【NARUTO】

第35章 35話 重たい犠牲




私の事はいいから、と焦るキリを見て、フミの胸は更に痛んだ。

フミ「……助っ人が来た時の方が焦るなんて、普通逆じゃないのかい」

フミ(自分一人の時は顔色一つ変えなかったくせにね)


キリは反撃する好機も、防戦に徹していた。

あのままではキリはいたぶられ続けるしかない。


仮に暗部の目的がキリの暗殺であるのなら、キリはここで息絶えていたのではないか。

そうであっても、おそらくキリは抵抗しなかったのだろう。

そして、キリ本人も応戦こそしてはいたが、どこかそれを仕方ないと思っているような節もあった。

まるで死を受けているような。生きることを諦めているような……。

だから、多勢に無勢なあの状況でも、キリはあのような対応を取っていたのだろう。


フミ(それなのに、こんな老いぼれ一人現れただけで取り乱すなんてね)


優しくて、ひどく悲しい。フミが幼い少女を慮っていれば、暗部が動いた気配があった。


ガキンッ

キリ「っ……逃げて下さい! 早く!」


こんなにも、こんなにも。優しい心を持つ子どもに手を掛けようとした過去の自分が、悔やまれて仕方がなかった。

暗部の攻撃を防いだキリを、ぐっとフミの後ろに寄せる。


『フミさん……チッ、年老いて血迷ったか』

フミ「この子の優しさで今、命があるような若僧が……誰に向かって口聞いてんだい」


フミに暗殺依頼を言付け、終始最もキリをいたぶり続け、そしてキリが仕留める隙があったのもこの忍。

フミ「ったく、不愉快極まりないね」


こんなひよっ子の、命令に従った自分が。


/ 1018ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp