第35章 35話 重たい犠牲
そんなやり取りをキリが上手く飲み込めずにいると、フミは眉を下げてキリに視線を送る。
フミ「助けるのが遅くなって悪かったね」
少し前から後をつけていたが、暗部の出方を伺っていたという謝罪を受けて、キリは目を見開いた。
キリ「なっどうして……!!」
驚きを隠せずにいるキリに、フミは自分の過去の失態に思いを馳せて、顔を歪ませた。
フミ「あの時は……本当にすまなかったね」
フミは自らの目で真実を確認する間も無く、キリの暗殺をはかった。
その後カカシの話も受けて、キリについて調査を開始した。その度にわかるキリの木ノ葉に対する献身的な行動や人柄。
調べるほどに明らかになっていくそれに、自分はなんてむごい仕打ちをしてしまったのかと、謝っても謝りきれない。
フミが現役時代は、これでも戦場の最先端にいた。自分はどれほど老いて、盲目までしてしまったのかと、自らを恥じると同時に責め立てた。
すると、キリから声が上がる。
キリ「助けるだなんて、そんなこと……! 早く逃げて下さい!」