第35章 35話 重たい犠牲
ドッと暗部を蹴り上げて、フミは即座に印を組み始める。
フミ「口寄せの術!!」
ボンッと現れたのは、フミの等身を大きく超えた三つの長い尻尾を持つ白銀のイタチ。
口寄せをされたイタチは、フミの姿を見ると嬉しそうにその体を寄せた。
フミ「久しぶりだね。もう十年以上になるか」
「急に呼び出して悪かったね」と、愛おしそうに頬をなでれば、イタチも目を細めて再会を喜んでいるようだった。
フミ「さて、呼び出して早々悪いんだけどね。この子を木ノ葉の中心部まで送り届けて欲しいんだよ」
キリ「!!」
フミ「……嫌な役回りをさせて悪いね。頼めるかい?」
フミの言葉に少しだけ戸惑いを見せたイタチだが、すぐにキリのそばへと歩み寄る。
キリ「まさか……っ!」
キリは急いでイタチから距離を取ろうとしたが、瞬時に伸びて来た尻尾に、身体を絡め取られる。
キリ「っ!! 待って……! フミさんっ、やめて下さい!!」
慌てるキリに、フミはにこりと笑みをこぼした。
フミ「もうずいぶん前におじいさんに先立たれてね。いい加減、寂しいとも思ってたんだよ」