第35章 35話 重たい犠牲
キリ「この子たちは……」
どうなるのだと問う前に、暗部はくるりと踵を返した。
『ガキに興味はねぇ。さっさと行くぞ』
その言葉で胸をなでおろしたキリは、子どもたちの方へ振り返る。
キリ「早くここから離れて。……怖い思いをさせて、ごめんなさい」
アサヒ「!」
キリの言葉を聞いたアサヒは、ぐっとこぶしを握って、いまだ混乱している仲間を叱咤する。
そうして、仲間を引っ張るようにして木ノ葉の中心部へと駆けていった姿を見てから、キリは暗部の後をついていく。
暗部の後に続いて、小一時間ほど走っただろうか。
一行は森の中で立ち止まる。
そこには、同じく面をつけた忍が十名。待ち構えていた彼らは、ずらりとキリの前に現れた。
キリ「……………」
スッと戦闘体制にはいったキリを見て、暗部はまた不快な笑い声を上げた。
『なんだぁ? ずいぶん大人しくついて来たかと思えば、戦うつもりかよ』
キリ「……もう子どもたちはいない」
キリ一人であれば、大人しくしている理由もない。
『くはっ、こりゃあいい。この人数相手にしようってのか。さすが、殺人鬼ちゃんはひと味違うね』
キリ「あなた達の目的は何」
一体どこの、誰が、キリを狙っているのか。
そして、キリを捕縛することが目的なのか、はたまた……殺す事が目的なのか。