第35章 35話 重たい犠牲
顔を青ざめている少年少女と、捕まえられたアサヒと呼ばれる少年は、ガッとキリの足を蹴りつける。
アサヒ「は、離せ化け物!!」
パッとつかんでいた手を離してやれば、フーフーッと息を荒げながらアサヒはキリを睨みつけた。
『アサヒくん駄目!』
『僕らは違うところで修業しようよっ』
「戻ってきて」と叫ぶ仲間たち。アサヒはさらにキリへ強い視線を送る。
アサヒ「バカ!なんで木ノ葉の俺たちが逃げなきゃなんねーんだ! こんな奴、俺がぶっ飛ばしてやる!」
そうして、カタカタと小さく震える手でクナイを握りしめているアサヒに、キリは困ったように眉を下げた。
キリ「ごめんなさい。私は違うところへ行くから、あなた達がここを使って」
アサヒ「は?」
片付け始めたキリを、少年たちはぽかんと口を開けて、呆けたまま見つめていた。
手早く片付けを終えたキリが、この場を離れようとした時。
わずかな殺気を感じ、そこから何か光る物が飛んで来るのが見えた。
キリ「!!」
『ア、アサヒ!!』
突然、刀を抜いてアサヒの方へと駆けていくキリを見て、少年たちから大きな悲鳴が上がる。