第35章 35話 重たい犠牲
第35話 重たい犠牲
『うわあぁぁ』
『きゃああっ!?』
キリ「くっ………!」
ザンッと、キリの腕をクナイがえぐる。
キリはすぐに踏み込み、たった今クナイを投げてきた暗部に向かっていく。
『わああっ』
少し後方から聞こえてきた悲鳴に、キリは足を止めて振り返る。
キリ「!!」
子ども相手に暗部が手裏剣を放ったところが見えて、キリは即座に子どもの前へと飛び出した。
キリ「…っ」
ざっくりと腕に手裏剣が刺さり、キリは顔を歪める。
『おーおー、ずいぶんとお優しいことで』
『おい、あまり遊ぶなよ』
『いやー甲斐甲斐しく庇う姿が感動的でなぁ』
愉快そうに笑う暗部に、キリは鋭い視線を送る。
キリ「この子たちは関係ないでしょう」
横目に子ども達を見れば、恐怖の色を張り付けて震えている姿があった。
キリ(私のせいで……っ)
…………………………
事態は突然だった。
この日は休みだったこともありキリは一人、修業に勤しんでいた。
そこにおそらくアカデミー生であろう子ども達が三人、同じく修業のためにと修練場へやって来た。
そこで、一人の少年が突然キリに襲いかかる。
『おらあぁぁぁ!!』
訓練用のクナイを大きく振りかぶった少年の腕をつかみ、突進してきた体もピタリと制止させる。
『!?』
目を見開いた少年の後ろで、仲間の少年少女達が声を上げた。
『きゃああ!アサヒくん!!こ、ころされちゃう』
『ア、アサヒを離せ!!!』