第34章 さよなら またね
怒りと苛立ちが募って強く睨みつければ、シカマルの視線に気付いた住民は、なにやら文句を言いながらも、少しバツの悪そうな顔をして散っていった。
シカ(あれが原因か?)
キリの様子がおかしい事の起源となったのは。
しかし、実のところ、キリが木ノ葉にいる間、先ほどのようなことは日常茶飯事と言っていい。
本当に腹立たしいことではあるが。
そんな奴らに出会う度に「てめぇはキリの何を知ってんだ」と、悪意を吐いたその口でキリに謝らせて回りたかった。
しかし、キリ本人が謝罪を求めていないこと。
そして、事を荒げるのは得策じゃないとシカクから忠告を受け、やむなく断念している。
でも、いつもはあまり気にかけていないが、今回は何かキリの心に触れるものがあったのかも知れない。
シカ(くそっ。やっぱ一回、直接わからせてやりゃ良かった)
片っ端から、問い詰めていったなら。そんなことは根本的な解決にならないかもしれないが。
続けていけば、こんな風にキリへあからさまな言動をとる奴は、少なくなるのではないか。
そんな不穏な考えを巡らせていれば、いつからこちらを見ていたのだろうか。
キリと視線が混じる。