• テキストサイズ

ささめごと -ながい夢- 【NARUTO】

第34章 さよなら またね





角を曲がったところで、互いに鉢合わせた二人は、その歩みを止める。



シカ「やっぱお前だったのかよ!? なんでこんなとこに」

「病院はどうしたんだ」と、目を丸くしているシカマルの手には、一輪の桃色の花が握られていた。

キリ「っ……」

見舞いの花を見て、きゅっと締めつけられた心臓は、樹の里を思い出している時とはまた異なる痛みだった。



キリ「……とても優秀な医療忍術を使う人が担当してくれて、もう治療の必要はないって」


ふと五代目になった綱手の名を出そうとして、やめた。

まだ公に発表されていない事を、不用意に口外するべきではないだろう。



シカ「お前それ本当に大丈夫なのかよ? かなり顔色悪ぃぞ」

いくらなんでも早すぎるだろうと、キリの顔を覗き込めば、真っ青な顔をしたキリは小さく首を振った。


キリ「平気」

シカ「でもよ」


うっすら汗をかいている事に気付き、シカマルがもう一度病院へ連れて行こうとすれば、キリは再度首を振る。


キリ「これは、違うから」

シカ「違うって……何か、あったのか?」



そう問いかければ、小さく視線を伏せたキリは、酷くつらそうに見えた。


そして、井戸端会議をしていたらしい主婦たちが遠巻きに、こちらを見ているのに気付く。

そこからは、ごちゃごちゃと耳障りな事が聞こえてくる。


『ほら、あの子でしょう。樹の里で……』

『やだ、まだいるの?厚かましいわね』

『子どもが心配だわ……大丈夫かしら』


シカ(聞こえてんだよ)


/ 1018ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp