第34章 さよなら またね
第34話 さよなら またね
綱手の治療を終えて、キリは病院を出る。
そして、二日ぶりの外の空気をゆっくりと肺いっぱいに吸い込んだ。
キリ(まぶしい)
どこまでも続く青い空が、室内に慣れた目に少しの痛みを与えた。
キリ(……綺麗)
澄んだ青に、ぽっかりと浮かぶ白い雲。
そのコントラストがひどく美しかった。
キリ(……あの時も、こんな風に綺麗な空だった)
ふとアカデミーの頃を思い出す。
後にも先にも、人生で初めて授業をサボったあの日。
思い返してみれば、キリがこの里に来てから約十ヶ月が経とうとしている。
短いような、長いような。この期間には、色々な事があったように思う。
木ノ葉での下忍としての活動も、生活も。ずいぶん慣れてしまった。
キリ(……ここで向けられる畏怖や嘲笑を込めた視線にも)
今も一人で里内を歩くキリに、ひそひそとまるで隠されていない悪意のある声が耳に届く。