第33章 移り変わる世代
最愛の弟を、恋人を亡くして木ノ葉を離れ。
久しぶりに帰還すれば、いつの間にか、三代目火影ヒルゼンは皺くちゃの老いぼれになっていて。
そして、子ども達が今、次世代を担おうとしていた。
綱手は初め、ここに来ても働くなんてせずに姿をくらませるつもりだった。
しかし、他里と比べれば発達していると言われている木ノ葉の医療技術も、まだまだ未熟で目に余ることが多々。
なにをチンタラやってるんだと、ついつい手を出して、こうして数日居座ってしまっている。
綱手はぐしゃぐしゃと頭をかいた。
綱手「~~~っ、くそっ!! 借金が無くなるまで、その間だけだ! その後は知らん!」
三代目「やってくれるか、綱手」
そう微笑んだ三代目に、綱手はキッと鋭い視線を向けた。
綱手「ひとまずこの病院の医療忍者を全員集めな! 言っとくが、アタシはじじいみたいに甘くはないよ!」
…………………………
ーー世代交代後の二人ーー
三代目「綱手」
無事に病院を後にしたキリのいない病室で、二人の会話は続く。
三代目「キリを、よろしく頼む」
綱手「……! チッ、なんか訳ありなのか」
三代目「……優しい子じゃよ。強く、芯もある。仲間想いでな、優秀な子じゃ。だが、あの子が生きるには、少々酷な敵が多過ぎる」
綱手「………」
三代目「どうか、守ってやってくれ」
綱手「ったく、面倒な事ばっかり押し付けてきやがって……」
綱手は「はぁ」と、盛大なため息をつく。
綱手「火影が、里の奴らを守るのは当たり前だろうが」
そう言った綱手の言葉に、ヒルゼンは目を細めて頷いた。
三代目「綱手……感謝する」
三代目(木ノ葉を、任せたぞ)
こうして、世代はゆるやかに移り変わる。