第32章 背中の重み
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ーー目覚めたキリーー
小気味良く揺れる中で、キリはゆっくりと目を開けた。
キリ「……?」
バッと体を起こせば、木ノ葉からそう遠くはない見慣れた景色が広がる。
ナルト「おっ、起きたってばよ」
シカ「おーキリ、大丈夫か?」
キリ「………」
ナルトとシカマルの声が、どこか遠い。
ぼんやりと靄のかかった頭を振ると、ここ数日の出来事が思い返される。
音隠れの忍から奇襲を受け、悪戦苦闘していたところをシカマルの影真似の術によって助けられた。
そしてその後、急ぎ橋を渡り、木ノ葉に帰還しなければならないと、キリは帰路を駆けていたはずだ……が、その後半の記憶がどうにも曖昧でよく思い出せない。
キリ「っ!?!?」
そして。今のこの状況に、キリは驚愕した。
今、自分がシカマルに背負われている事をやっと理解して、まだ曖昧さを伴いながらも道中でシカマルに背負ってもらった経緯も次第に思い出していく。
キリ「っ、降ろして、私……ごめんなさい」
確かに途中からは、とにかく体を、足を動かさなくては、と。時間が惜しい現状で自分が足を引っ張るわけにはいかないと、それだけにがむしゃらで。
余裕なんて欠片も残っていなかった。
だが、今こうしているシカマルにだって、そんな余裕はなかったはずだ。
その証拠に走り出して、1番最初にその歩みが遅れたのは彼だった。