第32章 背中の重み

アスマ「ほら、シカマル。キリ貸せ」

キリを背負ったままのシカマルに「代わってやる」と、手を伸ばすが、ひょいっとかわされる。


アスマ「あ？ なんだ？」

シカ「……こっから木ノ葉までは別に急ぐわけじゃねーんだろ。このままでいい」

アスマ「何言ってんだお前ぼろぼろじゃねーか。いいから貸………」


再び伸ばした手もかわされて、アスマはもう一度手を伸ばす。

またかわされて、もう一度。


そんなやりとりを三度ほどして、ふいっと顔を背けたシカマルに、アスマはにやりと表情を変えた。


アスマ「……ほぉーー」



アスマが、シカマルとキリが一緒に居るところを見るのは、久しぶりだった。

その久しぶりの間に、どうやらシカマルに変化があったようで、にやつく顔が止まらない。


アスマ「なるほどねぇ、お前が……へぇーーー」


少し驚き混じりに厭らしい笑みを浮かべれば、シカマルは眉を寄せ、アスマを無視して歩き始める。


ナルト「ん？ なんだってばよシカマル、代わってもらえばいいじゃねーか」

シカ「うるせーナルト、俺はまだまだ余裕なんだよ」


その言葉を聞き、ぷるぷると震えて限界だとSOSを出しているシカマルの足に、上忍三人の視線が集中する。


シカク.アスマ.カカシ
「ほぉーー余裕、ねぇ」


シカ「っく、んだよ！ こっから歩いて木ノ葉までぐらいいけるっつの！！」


顔を赤く染めてそっぽを向いたシカマルに、上忍たちはにやにやと隠す気のない笑みを向ける。