第32章 背中の重み
カカシ「奇遇ですね、俺もそう思ってました」
そう言って、ポイッとカカシも音忍を地面に捨てる。
ガイ「カカシめ……音忍を四人も担いで来ただと……ならば!!! 俺は八人全員を担いで木ノ葉まで駆けよう!!」
ガイは張り切って音忍を背負っていく。
カカシ「………どうぞ。手伝うよ」
六人目あたりから担いではボトリと、音忍を落としていたガイに、カカシは音忍をくくりつけていく。
ガイ「くーっ! ライバルを手伝うその余裕! ナウくて、むかつく!」
何かを叫びながら、木ノ葉へと駆けていった珍獣を、残されたシカマル達は静かに見送った。
ナルト「あー、なんか……。俺の担当カカシ先生で良かったってばよ」
シカ「俺も。アスマで良かったわ」
遅刻常習犯のマスク男だって、適当過ぎる熊男だって、あれに比べりゃ全然いいわ。と、二人は我が師を見て頷いた。
カカシ「……なんか、褒められてる気が全然しないんだけど」
アスマ「……カカシ、俺もだ」
遠くから、こだまするガイの雄叫びが聞こえてくる。
アスマたち同期内で、濃ゆさが他者の追随を許さないガイ。
昔から全く変わらない猪突猛進眉毛のことを、アスマは忘れることにした。
くるりと振り返って、アスマはシカマルに声をかける。