第32章 背中の重み
無言の三人の中で、カチンッとアスマがタバコに火をつける音が聞こえる。
シカク「……よし、橋が上がりきる前に俺たちも降りるか」
アスマ「……そうしましょう」
シカ「おう」
よっ、とシカマルはキリを背負いなおして、三人は後ろから響くカカシとナルトの断末魔を聞きながら、橋の向こう側へと歩き出した。
カカシ.ナルト「死、死ぬかと思った(ってばよ)……」
満足気なガイとは対照的に、げっそりとやつれたカカシとナルトを見て、三人は憐れみの視線を向ける。
一息ついてシカク達は、アスマとガイに話を聞いた。
もともと木ノ葉が頼んでいた案内人は拉致されていたという情報が本部に入り、三代目の要請を受けて、援軍に来たのだという。
アスマ「シカクさん、お疲れ様でした。そいつら後はこっちで預かりますよ」
シカク「ああ、二人とも悪かったな。助かった」
そう言って、シカクは乱雑に音忍四人を放り落とし、忌々しそうに見下ろした。
シカク「途中で何度捨ててやろうかと思ったか……」
一体、何故。
大事な部下があんなに大怪我を負った状態で、周りに迷惑だけはかけぬようにと必死で走っているのを横目に、シカクはこいつらなんぞを担いで走らなければならないのかと。
道中で何度、自問したかわからない。
三代目直々の命令でなければ、とっくに投げ捨てていただろう。