第32章 背中の重み
ぼたぼたとガイから流れ落ちる青春のかたまり(涙と鼻水)が、2人へと降り注ぐ。
カカシ「うっわっ、無理、汚い! ちょっガイ! 本当にやめろ!!」
ナルト「ぎゃあああ! なんかかかったってばよ!?」
ガイ「さあ、つかまれ! 俺が受け止めよう!」
カカシ「ア、アスマ!! ガイをどうにかしてくれ!!!」
ナルト「シカマル助けてくれってばよ!! ぎゃぁあ! またかかったぁぁ!?」
留まることなく落ちてくる雫に、カカシは体を振子のように揺らしてそれを回避しようとする。
しかし体を揺らす度に、橋の裏に刺さっているクナイに振動が伝わっているのが分かる。このクナイが抜けてしまっては、崖の下に真っ逆さま。命の危険もある。
カカシ一人だけなら、今すぐにこの手を離したが、今はナルトもいるのだ。
大事な部下を危険に晒すわけにはいかない。そう考えて、カカシは揺らしていた体をピタリと止める。
ナルト「あああカカシ先生!! ずりぃってばよ自分だけ!! 俺も入れてくれ!!」
サッと音忍を盾に魔の雫を防いだカカシに、ナルトが非難の声を上げる。
目の前で繰り広げられる惨状を、三人は同じ気持ちで見つめていた。
シカク.シカマル.アスマ
「……………………」
シカク(……ひでぇな)
アスマ(関わりたくねぇ)
シカ(うっわ……)