第32章 背中の重み
橋の下は、一体何メートルあるのかわからないほどに暗く、底などまるで見えない。
これを、疲労困憊な今の状況で飛べというのか。
カカシ「ナルト! シカマル! 悩むな! そのまま飛べ!!」
シカ「くっそっ、はっ、こっちは、はぁっ、もうとっくの前から足が笑ってんだっつの!」
バッと飛び込んだシカマルに、ナルトも続く。
ナルト「~っ! 俺だってやってやるってばよ!!」
シカ(っ、足りねぇっ……!!)
宙に浮いたシカマルの体が向こう側へ届く前に勢いを失くしはじめる。
シカク「シカマルっ!」
シカ「っ、親父!!」
差し伸ばされたシカクの手を掴むと、落下を始めていた体が、ぐんっと持ち上げられた。
シカク「良くやったシカマル!」
橋の向こう側へ到達したシカマルの後ろから、叫び声が聞こえる。
ナルト「落ちるってばよー!!」
シカマル同様に飛距離が足りなかったナルトはジタバタと手足を動かすが、その努力もむなしく終わる。
下を見ると、コオォォォと不気味な音を立てる漆黒の谷底に吸い込まれそうな感覚がして、ぞくりと全身に鳥肌が立った。
ナルト(や、やばいってばよ!!?)
カカシ「ナルト! つかまれ!!」
ナルト「カ、カカシ先生ぇ!!」
隊の最後尾にいたカカシも飛び込んで、今にも落下しようとしていたナルトの体を抱える。