第32章 背中の重み
正直、後方でなんとか後を追っていたようなシカマルには、先頭を走るキリがいつからここまで追い詰められていたのかなんて分かるはずもなくて。
シカクが大声でキリに話しかけて、キリがそれに反応を示さなかったことで、はじめてキリの異変に気付いたのだ。
シカ「っ!!」
突如、ずしんっと背中にかかる重みが増える。
突然増加した重量と、だらりと力なく垂れたキリの腕と体を見て、キリの意識が失われたのだと理解する。
なまりのように重かったシカマルの足に、さらなる負荷が加えられ、その足は痛みを帯びる。
シカ(重っ……くねぇ!)
ぎゅっと、後ろにいるキリの体に回していた手の力を強める。
シカ(キリ、よく頑張った)
その頑張りは充分過ぎるほど。
重症な体で、今までどれだけつらかったのか。
あのキリが任務中に、数秒で意識を手放すほどだ、限界なんてとっくに越えていただろう。
グッとシカマルは奥歯を噛み締めて、少しでも気を抜けば崩れてしまいそうな自らの足を奮い立たせる。
ータイムリミットまであと3時間ー