第32章 背中の重み
ふらふらと、それでも足を止めないキリの腕をシカマルは強く掴んだ。
シカ「はぁっ、キリ、乗れ」
キリ「!」
スッと背中を見せるシカマルに、キリは首を振った。
シカ「はぁっ、この馬鹿! はっ、いいから乗れって」
そう言って、ぐっと引っ張ってもキリは再度首を振って、その体が動くことはない。
シカ「ぜぇっ、はっ、キリ、ちょっとでいいから、休め……!」
キリ「!!」
ガツッと再びつまずいたキリの体を支え、シカマルはもう一度キリの腕を引っ張った。
シカ「はぁっ、早くしろ」
キリ「……っ」
すると、頑なに動かなかったキリの腕の力がふわりと抜けて、その体が宙に浮く。
とすん、とシカマルの背中に重みが乗った。
キリ「ぜぇ、は、五……、いえ三分っで、いい、はぁっ」
シカ「はぁっおう、任せろ」
背中にいるキリの体に手を回せば、シカマルはある事に気付いてハッとする。
シカ(っキリ、お前っ……!!)
背負われているキリから、尋常じゃない速さの鼓動と、荒い息遣いの中にかすかにひゅーひゅーと漏れる異質な呼吸音が響く。
シカ(お前っ、こんな状態でここまで)