第32章 背中の重み
キリ「はぁっ、はっ、は、はぁっ」
あれから更に走り続けて7時間。
一時は先頭にいたナルトも少し下がり、一行は自然とはじめの隊列に戻っていた。
キリ(息がっ、吸えない……っ)
じわりとキリの目じりに涙がたまる。
体中に酸素が足りておらず、苦しくなるのはわかっていても、呼吸は浅くなるばかりで、もはや発作のような息遣いになっている。
シカク「キリっ、大丈夫か」
声をかけたシカクは、そんな言葉しかかける事が出来ない自分に顔を歪めた。
シカク(ちっ大丈夫なわけねーだろうが)
一時間ほど前から、キリの体がふらつき始めていた。
それでもなお、先頭にいるシカクの隣を走り続けている方が、普通ではあり得ない事なのだ。
はじめのうちはキリに声をかければ、「はい」「大丈夫です」と返事があったが、途中からはそれが頷いたり目配せのみの返事となり。今では声かけに反応も示さない。
シカク(ここまで走れた方が奇跡だ)
シカク「キリ! 聞こえてるか⁉︎ もう3分の2も越えてる、あと少しだ」