第32章 背中の重み
キリ「……そう、じゃあ」
そう言って、先頭に戻ろうとしたキリが後ろを振り返る。
シカ「っ、なんだよ?」
キリ「疲れたなら、いつでも言って。背負ってあげる」
シカ「っ!! うるせー! いいから前見て走れ!」
くるりと身を翻して先頭に戻っていくキリに、堪えきれずカカシは体を震わせる。
カカシ(くっ、ふっ……、いや キリ、ほんと凄いねお前)
先ほどまでとは一変。
わーわーとうるさくなったナルトに、頼りなかったシカマルの足取りにも力強さが戻っている。
間違いなく、今一番つらいのはキリだろう。
そんな中で、疲れが見え始めたシカマルとナルトの士気をこれ以上ないほどに上げて戻っていくなんて。
カカシ(いや、ほんと。最高だよ)
前を見れば、ぶすっとふてくされた顔をしているシカマルを見て、笑いを堪えているシカク。
その隣で過剰に余裕のアピールをしているナルト。
そんなナルトを完全にスルーして、何事もないような顔で走っているキリが見える。
先ほどとは打って変わって、活気付いた一同に、カカシはもう一度笑いが漏れた。
ータイムリミットまであと10時間ー