第31章 耐える戦い
シカ(……あんな距離から、術を成功したことなんかねぇ)
あと少し到着が遅ければ。
もしも、その影が届いていなければ。
そう考えて、シカマルの背中にぞくりとしたものが走った。
そして、初めてみるキリのここまで疲弊した姿に、申し訳なさなのか悔しさなのかわからない気持ちが生まれる。
シカ「っ、遅くなって悪りぃ」
小さく震えているシカマルの手を見て、キリの表情がふと柔らかみを帯びる。
キリ「どうして、充分過ぎるでしょう」
シカク「キリ!シカマル!!」
そう、呼ばれた声の方を振り向けば、先頭のシカクに続いて、ナルトとカカシの姿が見えた。
意識の無い音忍を四名ずつ抱えているシカクとカカシの姿から、どうやら向こうも上手く任務を遂げることが出来たのだろうとわかる。
どさりと粗雑に音忍を地面に置いて、シカクもキリのそばへと膝をついた。
キリ「っつ、シカクさん」
シカクが現れたことで、ずっと張り詰めていたキリの緊張感が少し緩和され、安心感を覚えた。
シカク「キリ!」