第31章 耐える戦い
影を操り、シカマルはすぐさま大剣を抜くと、キリの肩からは大量の血が溢れ出た。
キリ「っつ」
キリは力を振り絞り、影を捕らわれている音忍へ手刀を入れると、音忍はだらりと意識を手放した。
意識がなくなったことを確認して、シカマルはすぐに影真似の術を解き、キリのもとへと駆け寄った。
シカ「キリ! 大丈夫か⁉」
キリ「はぁっ、は、う……、え」
どさっと、膝をついて血を吐き出したキリの身体をシカマルは慌てて支える。
シカ「キリ!!」
キリ「ぐっ……大、丈夫。致命傷じゃない」
シカ「っ、どこ怪我してんだ⁉」
そう言って、シカマルはすぐさまキリの肩の止血を始める。
キリ「肩以外は……と、肋骨が数本。右腕も折れてる」
シカ「っ……」
そう言われて、シカマルが周りを見渡せば今倒した二人の女の他に、体の大きな男が二人横たわっているのが見えた。
シカ(四人も一人で相手にしてたのかよ……)
キリのこの消耗しきった様子から、それが簡単な戦いでなかったことはわかる。
シカ「お前、いつから戦ってたんだ」
キリ「……昨日の夜、襲撃された」
シカ「なっ!!」
あまりにも長過ぎるその時間に、シカマルは驚きを隠せずにいた。
シカ(一晩中戦ってたってのかよ⁉)
ここへ駆けて来る途中、キリの姿が見えた時は肝が冷えた。
そして、音忍に蹴り飛ばされ、大剣を振りかざされた時、考えるよりも先に影真似の術を繰り出していた。