第31章 耐える戦い
こちらから致命傷を与えることは難しいが、それは向こうも同じ。
チャクラの使用を防御時の必要最低限のみに留め、純粋な体術だけでの戦闘。
致命傷を避けて、現在音隠れのアジトに向かっているシカク達の援護を待つ耐久戦へと突入した。
さばいて、受け流す。
一晩中に及んだ戦いの中で、大きく目立つ負傷はない。
しかし、キリの体には少しずつ傷が増え、じりじりと体力は奪われ続けていた。
キリ(体が、重い……っ)
『ほらほら、限界なんでしょ?』
にやっと笑う若い女のクナイが脇腹をかすめる。
キリ「かはっ」
直後にもらった蹴りに、キリの体は地面へと叩きつけられた。
『どこ見てんだい』
その声の方へ振り向けば、長髪の女が近くにあった大剣を拾い上げ、キリめがけて振り上げたのが見えた。
がくんっ
キリ「!!」
立ち上がろうとしたキリの膝が抜けて、ドッと音を立てて再び膝が地面に着いた。
そんなキリの姿を見て、音忍は嘲笑を浮かべた。
『終わりだよ』
キリ(くっ、まだ……腕の一本ぐらい)
くれてやろうと、迫り来る大剣にキリは半身をよじる。
ザンッと左肩に大剣がめり込んだ所で、女はピタリと動きを止めた。
『『なっ!?』』
不自然に止まった女の後ろを見れば、見慣れた男の姿が目に入る。
シカ「キリっ!!」