第31章 耐える戦い
『おっ、姫さんは俺をご指名だ。お前ら、手ぇ出すなよ』
『ご勝手に』
『お前の趣味は理解出来ん』
『早くしてよね』
キリ「はぁあっ」
ガキンッと鉄がぶつかり合う音と共に、キリの戦いが幕を開けた。
ぽたり、ぽたりとキリの体から汗が落ちて、それは地面の色を変えていく。
昨晩始まった戦闘も、今では森に光が差し込んで明るくなっている。
『ちっ、しつこいっての!!』
振り抜かれるクナイを避けて、キリは刀を振るう。
現在、キリの周りには二人の男が倒れていて、そして残る女二人がキリを仕留める為に躍起になっている。
現れた音忍たちが完全にキリをなめきっていた事が戦況を変えた。
はじめの男はキリを嬲ろうと自ら一人で相手をし、その隙をついた。
次いで三人との戦闘が始まったが、もともとこの下卑た男の性癖に思う所があったのだろう。
油断し過ぎだと、嫌悪感をみせるのみで未だキリに対して本腰を入れる様子がなく。
その間にキリは大量のチャクラを消費して、大剣使いの男とカタをつけることに成功した。
そして、残る女二人が攻撃型ではなく完全なる後方支援型であったことも功を奏した。
隊の主力を失い、自ら戦うことになってしまった二人は近距離戦に不慣れであり、その応戦は難しくない。
しかし、いくら不慣れといえども前の戦闘でチャクラ不足の中、本気になった音忍二人を相手に、キリは致命傷を与えられずにいた。
キリ(っ、チャクラが足りない)
止むを得ず、キリは戦い方を変更する。