第31章 耐える戦い
シカク「ちっ、カカシ! 今はこっちが先だ、俺たちもすぐに追うぞ」
そう言って、シカクはともる焦燥を抑え、残る音忍たちへ対峙する。
シカク(っ、キリ……無事でいてくれよ)
* * *
一方で、森の中ではキリの荒くなった呼吸が聞こえてくる。
キリ「はぁっ、くっ……」
シカク達と別れて、案内人を送り届けた後。
再び山脈までの道のりを駆けて、地図の道を辿っていれば、突如音隠れの忍から奇襲を受けた。
音忍の初撃を防ぐキリに、別の忍が追撃を仕掛ける。
後方に下がってその攻撃を避ければ、ぞろぞろと現れる音忍の姿が目にうつる。
キリ(まずい、囲まれた)
前後左右、四名の音忍に囲まれたキリは鞘から刀を抜いた。
『おーおー、一丁前な顔してまあ。そそるねぇ』
『生意気なガキは嫌いよ』
下卑た笑みを浮かべる男に、酷く不愉快そうな髪の長い女。
『ちっ、なんで俺がガキの相手なんか……』
『早く終わらせて帰りましょー』
気だるそうな男は大剣を肩に担いで、まだ若い女はしきりに髪を気にしている。
そんな四人に囲まれたキリは、ゆっくりと敵を見据えた。
キリ「……ふーーー」
キリは一度、大きく息を吸って、ゆっくり長い息を吐く。
キリ(油断している今のうちに…仕留める)
そして、今も下卑た笑みを浮かべている男へ刀を構えて駆け出した。