第31章 耐える戦い
ナルト「……ここまでの道、全部?」
その問いに、キリは再びこくりと頷く。
ナルト「…………ごめんってばよ」
また、こくり。
そうして、しゅんっと力をなくしたナルトをシカマルは小突く。
シカ「ばーか、俺らとは出来が違うんだよ」
ナルト「いや、だってここまですっげー複雑だったってばよ!? 俺、迷子になる自信しかないってば……」
来た道を振り返り、ナルトは「まじかよ……」と頭を抱える。
そんなナルトを素通りして、シカマルはキリのもとへと歩いていく。
シカ「ぜってー無茶はすんなよ」
キリは地図から顔を上げて一つ頷いた。
キリ「でも、私よりも自分の心配をして」
そう言われて、キリに何も言うことが出来ない自分が情けなかった。
シカ(くそっ、まじでだせぇ……)
本当は自分が護衛を名乗り出て「お前はみんなと行け」と、キリにそう言いたい。
しかしそれを担うには、シカマルでは駄目な事ぐらい言われなくてもわかる。
こんな所にキリ一人、別行動になるのは気がかりだった。
けれど突然、盗賊の奇襲を受けた時。シカマルは対応出来るのかと言われれば、ハッキリと大丈夫だ任せろなんて、返事は出来ない。
それに、ここまでの道のりを二度通ったからといって、案内人無しで戻って来ることも、シカマルには到底無理だろう。
シカ(いつも、俺には力が足りねー……)
それが、とても歯痒くて、悔しい。