第31章 耐える戦い
音隠れには、シカクよりも戦闘能力に特化しているカカシが行くべきだろう。
カカシに目配せをすれば、すぐにカカシもそれに了承をする。
シカク「俺がーー」
キリ「私が行きます」
シカクの言葉を遮って、隣から聞こえてきた声。
声の主を見れば、キリはスタスタと案内人のもとへ歩いていき、こちらに視線を向ける。
キリ「私が行きます」
シカク「いや、しかしな」
キリ「今、この場では私が適任かと」
確かに、今からは複数名いるとわかっている音隠れとの戦闘だ。
今ここで上忍二人の内どちらかが欠けることは想定外のことで、それはかなりの痛手にもなる。
しかし、シカマルやナルトを一人護衛として置いていくにも、盗賊に遭遇した際に不安が残る。
一人で護衛という任務を背負うには、まだ力不足だろう。
シカク(だが、確かにキリなら……)
すでにキリは下忍としての実力は越えている。
そして、何より驚くべきは普段からの警戒の怠らなさ、その集中力だ。
任務に就くにあたり最も危険な《油断》がキリにはない。それ故に気配を察知する能力も高い。
いくら質が悪かろうが盗賊から奇襲を受けたところで、対処出来ないということはまずないだろう。