第31章 耐える戦い
すると、先ほどまでニコニコとしていた案内人が突然表情を変えた。
『ちょっと勘弁してくれよ、初めからそうした約束だったはずだ! あっし一人に、この危険な山道を行けと? 自分たちの案内さえ終わればもう用済みってことかい? 木ノ葉の忍はなんて薄情な連中だ』
憤慨する案内人に、どうしたものかとシカクは顎に手を当てる。
シカク(伝達ミスか?)
正直、今は案内人の護衛に戦力を割けるほど、人員に余裕はない。
しかし、この案内人も仕事で雇われた身だ。
雇っておいていい加減な対応をすれば、木ノ葉の信用にも関わる。それは今後の木ノ葉にとって得策ではないだろう。
イレギュラーな事態ではあるが、仕方ない。
シカク「いや、すまない。どこかで話が違えていたみたいだ。集落までの護衛を一人出そう」
『おや。いやぁー初めからそう言っていただければこちらも、ね。しかし、ついつい口悪くなってしまって、すみませんね』
『どうもあっしの性分は堪えようがなくていけませんね』と、案内人は少しバツの悪そうに手揉みをしている。
シカク「いや、こちらもすまなかった」
今から音隠れの連中のもとへ行くとなれば、そこでの戦闘は避けられない。
シカク(そうなると……)