第30章 緊急任務
シカク、カカシ「「!!」」
しかし、シカクがシカマルのフォローへ向かおうとするよりも早く、キリがシカマルのもとへと近付いていく。
そして、それに気が付いたシカマルもまた顔を上げた。
キリ「……気合い入れるのはいいけど、少し気負いすぎ」
シカ「!」
そう言ってキリは、シカマルが握りしめていたこぶしを手に取った。
キリ「音隠れまで長い。今からそれだともたない」
そっとシカマルのこぶしを開いて、キリはシカマルの顔を見つめる。
キリ「……油断だけしないで、後はいつも通りにやればいい」
キリの青い瞳が真っ直ぐにシカマルをうつす。
シカ「……あー、わりぃ」
キリの言葉で、頭が一気に整頓されていくようで、冷静さを取り戻す。
まるでアカデミー生のような、空回りした意気込み。
そもそも、シカマルは勢いと気持ちだけで猛進するタイプではない。果敢と無茶は全くの別物だ。
シカ「キリ、さんきゅーな」
にっと笑ってそう返せば、少しだけキリの表情が柔らかいような気がしたのは、自惚れだろうか。
どさくさに紛れて離さなかったキリの手が、するりとほどかれる。
それを少し残念に思いながらも、前を向いて歩き始めたキリの後に続く。
ぐーっと大きく伸びをすれば、肩がふわりと軽くなっていることがわかった。
シカ(っしゃ、行くか!)