第30章 緊急任務
「うるさい」と、ため息混じりにカカシからげんこつを落とされて、ナルトは大きなコブを作った頭をなでる。
ナルト「いってーーー!! 何すんだってばよカカシ先生っ!」
三代目「まったく……何はともあれ今は時間がない。皆の衆、行ってくれるか」
シカク、カカシ「「はっ」」
ビッと敬礼をして、三代目火影からの命を預かったカカシとシカクが火影室を後にすると、キリたちもそれに倣って、後に続いた。
ナルト「いよっしゃああ! 行くってばよ!!」
意気揚々と騒いでいるナルトに、カカシはため息をつく。
カカシ「ナルト、いつまでもお遊び気分でいると痛い目にあうぞ」
ナルト「!!」
カカシ「今回の任務、戦いになる事はおそらく避けられない。ただでさえお前は、まだまだ実戦の経験も足りてないんだ」
ナルト「心配すんなってカカシ先生! 裏切り者なんてこの俺があっという間にーー」
カカシ「前に、雲隠れの抜け忍と雷影に襲われた時、うろたえるだけで何も出来なかったのは誰だ?」
ナルト「っ!!」
シカ(!!)
ちらりと一瞬、キリに視線を向けたナルトは顔を歪めてすぐにその視線を伏せた。
そしてまた、カカシのその言葉はシカマルの胸にも深く刺さった。
雲隠れから奇襲を受けた時、動けなかったのはナルトだけではない。
ナルト、サクラ、ヒナタ、そしてシカマルも不様にうろたえて守られるだけのお荷物だった。