第30章 緊急任務
修行の途中で、暑過ぎてやっていられるかと脱ぎ捨てた上着や、シカマルが投げた忍具を慌ててかき集めていく。
そんなシカマルを見て、シカクはふぅと小さく息をついた。
シカク「早くしろ、置いていくぞ」
シカクから急かされて、シカマルは次々とポーチに忍具を入れていくが。
先ほどキリが自分の忍具を集める際に一緒に拾ってくれたのだろう。ある程度シカマルの忍具もまとめられていて。
それらを拾いながら、いつそんな時間があったのだと疑問に思う。
シカク「おせーぞシカマル」
「行くぞ」と早足に先を行くシカクに、こんなに唐突に言われて、すぐに準備が出来るかと、一言物申したい。
とても、そう言いたいのだが。
同じように修行をしていたはずのキリが準備万全の状態で、シカマルの身支度を待っていたので、もう何も言えない。
歩き始めてすぐ、キリはシカマルに助言する。
キリ「忍具。整理しないと、そのまま実戦になったら危ない」
そう言われて、シカマルがポーチのチャックを開ければ、それはもう乱雑に詰められてひしめき合う忍具達とこんにちは。
シカ「キリはもう出来てんのか?」
ジーッとキリのチャックが開けられて、その中を覗けば、綺麗に整頓された忍具達とこんにちは。
シカ(だから、いつそんな時間があったんだよ!)
シカ「!」
その忍具をよくよく見れば、キリはポーチにしまう前に砂や汚れを落として、整備まで完了している事に気が付いた。
シカ(………)
人はあまりにも次元が違うと、言葉も感想も出ないらしい。
シカ(……俺が駄目過ぎんのか…?)
キリの能力が突出し過ぎているだけなのか、はたまた自分の能力が低過ぎるのか。
隊の一番後ろをついて行くシカマルが、一人頭を悩ませていたのは、内緒のお話。