第29章 解毒薬
シカ「まじかよ⁉︎」
シカマルは勢いよく立ち上がると「どれが効いたんだ⁉︎」と、先ほどシカマルが使用した原料を忘れないように紙に記していく。
キリ(私には効果がないはず……どうして?)
不思議に思って自身の胸に視線を落とすが、やはり先刻まであった痛みはすっかりと影を潜めている。
シカ「完全に痛みはとれたのか?」
その問いに、キリはこくりと頷いた。
キリ「もう、少しも残ってない」
シカ「! そうか」
ぱっと笑顔を見せて、シカマルはキリの前に腰をおろした。
シカ「あとは痺れてんのが取れりゃいいんだな」
そう言って、きゅっきゅと再びキリの手を握るシカマルに、なぜか涙が出そうになって、慌ててそれを堪えた。
キリ(……あたたかい)
…………………………
ーーその後の二人ーー
シカ「キリ」
キリ「?」
シカ「俺は……お前にこの里にいて欲しいと思ってる。てかな、もう居ない方が困るっつーかなんつーか」
あーだとか、んーだとか、唸って、どうやら上手く言葉がまとまらない様子のシカマルは頭を掻いた。
シカ「……だから、そんな寂しいこと言うなよ」
そう言われて、じわりと滲んだ涙が、あと少しで溢れてしまいそうだった。
キリ「……ありがとう」