第29章 解毒薬
第29話 解毒薬
ちりちりとした痛みがキリの体に広がる。
身体に耐性があるといっても、それはどんな薬物も効果が0になるというわけではない。
キリ(今回は量が多過ぎた……)
一度目に出されたお茶程度ならば、何の問題も無かった。
しかし、二度目に注がれた毒薬はあまりにも多過ぎて。
よほどフミは、キリのことを殺したかったのだと、そう思う。
舌も、手足も痺れて感覚がよくわからない。
そして、胸のあたりも少し痛んで苦しい。
キリの視線が、自らの腕へと移る。
キリ(……痛い)
フミの家を出てから、シカマルは一言も喋ることなく、キリの右手首を掴んで、ずんずんと先を歩いている。
その手が白くなるほど、強く握っている事に、彼は気付いているのだろうか。
奈良家まで戻ってきたシカマルに連れられて、脱いだ靴を揃える間も無く、家の奥へと入っていく。
そのまま薬材庫へと直行したシカマル。
そこまで来てやっと掴んでいた手を離した。
シカ「キリ、どこか痛むか?」
キリ「胸のあたりが少し……あとは手足が痺れてる。そっちに痛みはない。」
シカ「そこ座ってろ」
そう言ってシカマルは、ばたばたと色んな薬箱や原料の入った小瓶、製薬法の書かれた紙などを漁り始める。