第28章 悪意の善意
フミ「正直、里のために子ども一人殺すことなんかわけないからね」
フミのその言葉に、カカシは少し言葉に詰まる。
カカシ自身も、元は暗部出身である。
今までどれだけの命を奪ってきたのかなんて、もう数え切れないほどだ。
そして、今だって。
必要があるのなら、この手で誰かの命を奪うこともあるだろう。
それが木ノ葉の、仲間のためならば。
大きな犠牲を防ぐために、小さな犠牲を選択することも、時にはやむを得ないことだと、カカシも思っている。
カカシ(だがキリは……)
フミ「他里から来た子供一人くらい安いもんだ……そう、思っていたんだよ」
カカシ「!」
フミのつぶやきに、カカシの思考回路は一旦停止をとげた。
そして今に至るまで、表情を変えることのなかったフミが、何かを迷っているように眉を下げる。
フミ「あの子は……どんな子なんだい。本当に木ノ葉の里に被害をもたらす子どもなのかい……?」