第28章 悪意の善意
…………………………
ーーその後の二人ーー
カカシ「誰からの指示で、キリを暗殺しようとした」
取り調べ室で、カカシの重い声色が響く。
フミはあの後、抵抗することもなく、素直にカカシに付いてきた。そして今も敵意は見えず、フミは淡々と問い掛けに答えていた。
フミ「……二日前、面をつけた忍が家に訪れてね。あの子が二日後に、この付近に来る可能性があるから、里のために一肌脱いではくれないかと。あの毒薬を渡していった」
カカシ(……暗部の仕業か! もしかして、今回の任務は全て仕組まれていたのか)
思えば今日のシカクの仕事に、急遽入ったDランク任務。
不自然ではあった。
どうしてもキリを一人にする必要があったのだろう。
そして、Dランク任務の草むしりをフェイクにキリをおびき寄せ、始末しようとした者がいる。
カカシ(随分と面倒なことになってるね……)
フミ「私も、昔は暗部だったからね。あの子がどういった経緯でここへ来たのかは知っているよ」
元忍として、里を守るための情報収集は行なっていたのだと、フミは続けた。
フミ「そして、暗部からはあの子が木ノ葉の里への謀反をたくらんでいると。とうの昔に忍を引退したあたしに、こんな事を頼むのは心が痛むが、里のためにどうかお願いしたいと……そう言われた」
椅子に座っていた老婆は、小さくため息をついた。