第27章 草刈り機
シカ「今はそんな事言ってる場合じゃねーだろーが」
今自分たちは五人の刺客から追われている最中なのだ。とてもDランク任務の、いつでも出来るだろう草むしりなど気にしている場合ではない。
そう言えば、キリは珍しく眉を下げて落ち込んでいるような素振りを見せる。
シカ「あ……いや、任務内容は草むしりだろ? とりあえずそれは終わってんじゃねーか。……全部散らばってっけどよ」
キリ「………」
キリの中で、それで良しとはならなかったようだ。
どうやら突然の奇襲よりも、今の自分の置かれている危険性よりも、任務の失敗がキリの心を重くさせているらしい。
おそらくキリの失敗は、第11班の失敗であり、それは担当上忍のシカクに影響が及ぶ事を慮っているのだろう。
シカ「あー、ほら、後で俺も手伝ってやるから。んな顔すんな。大丈夫だ」
キリ「……」
その後も色々とフォローの言葉をかけ続け、ようやくキリもそれに頷くと、いつもの表情を取り戻した。
シカ(ったく、急にそんな顔するんじゃねーよ)
普段飄々としているキリが落ち込むと、困っていると、自分がそれ以上に取り乱してどうにも心臓に悪い。
前を向いたキリに一安心して、シカマルもそれに続いた。