第27章 草刈り機
シカマルとキリは全速力で森の中を駆ける。
この森を迂回して、敵に追い付かれるよりもはやく、木ノ葉の中心部へと戻らなくてはいけない。
ただの草むしりが何故か命をかけたサバイバルゲームに変わってしまった。
その先頭をいくキリは、相手が追い難い場所を選んで走る。
後に続くシカマルの頬がピッと一筋、木に茂る葉に触れて裂かれた。
シカ(くそっ、速ぇ)
口にはとても出せないが、今のスピードは自分の出せる限界ギリギリのラインだ。
そして追っ手が追い難いということは、逃げる方だって走りにくい場所である。
それをこのスピードで先頭を走り、いけるかいけないかの取捨選択を瞬時にしながら、今の最善にして最短ルートを選ぶキリに驚かされる。
シカ(……一体、何したらこいつとの差が埋まるんだよ)
現状で、追っ手との距離は付かず離れず。厳密にいえば、わずかに追っ手が早いかというところだが、それも誤差の範囲だろう。
キリが先導しているから、この距離を保てているのだ。
キリ「……任務」
キリの能力の高さを再度垣間見たところで、キリはポツリと言葉をもらした。
シカ「は?」
キリ「任務。まだ終わってなかったのに……」
後から戻って再開出来るだろうかと、キリに視線を向けられる。